2009年度に総務省によってつくられた制度で、主に都市圏に住む人たちの中から、各自治体が募集を募り「地域おこし協力隊員」として1年以上3年以下の業務委嘱をすることを指します。

地域おこし協力隊の概要

地域おこし協力隊は、着任後一定期間その地域に住みながら、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や、農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行います。

隊員を募集できる地域は、人口減少や高齢化などの進行が著しい「条件不利地域」と呼ばれる地域で、3大都市圏外のすべての市町村・ 3大都市圏内の条件不利地域にひらかれています。

地域おこし協力隊の活動経費について、総務省が隊員1人あたり年間400万円上限として支援をしており、(報償費等:年間200万円~250万円、活動費:年間150万円~200万円 ※地域や隊員のスキル等の条件により変動あり)さらに起業を目指す隊員には、協力隊の最終年次または任期終了翌年に、起業に要する経費として、1人あたり100万円を上限に経費が支給されます。

地方において、地域外の人材や視点を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることで地域力の維持・強化を図っていくことを目的とする制度です。

開始から10年以上が経ち、現在では隊員人数も増え、平成30年度には1,061自治体で5,000人以上が活動しています。地域おこし協力隊のOB・OGが地域に根付き、地域振興を牽引する動きも増えてきました。

地域おこし協力隊のはじめ方とは?

地域おこし協力隊になろうという機会はひろく開かれています。まずは、隊員を募集している地方自治体の情報をチェックするところから始めましょう。地域おこし協力隊のポータルサイトにまとめられている他、自治体独自に募集していたり、ネイティブメディアでも募集情報が掲載されています。

一口に地域おこし協力隊と言っても、条件や求められる役割は地域によって様々です。ミスマッチを防ぐためにも、「ここに住みたい」という視点で地域を検討することと同じくらいに、「どのような役割を期待されているのか」ということを考えるようにしましょう。

その後は、指定された方法での書類審査や面接を経て、着任という流れになります。

地域おこし協力隊のメリットとは?

地域おこし協力隊として地方に赴任することは様々なメリットがあります。大きなものは、定住への準備になりやすいということです。実際に地域おこし協力隊を経験した6割の人が、その地域に定住しているというデータもあります。地方移住を検討している人にとって課題にあがりやすい、「仕事の選択肢」や「地域の人と馴染めるかどうか」といった点を、実際に働きながら、暮らしながら「お試し」できることが大きなメリットだといえます。

だからこそ、地域おこし協力隊の募集事項をよく読み、自分の将来的なありたい姿に合致するかどうかを見極めて行動することが必要です。

地域おこし協力隊の注意事項は?

地域おこし協力隊は、あくまで任期付きの非常勤職員です。期間が終われば地位の保証がないということは改めて気をつけておくべきポイントでしょう。また地域に飛び込むにあたっての価値観のギャップや、地域ならではの慣習に戸惑うという声も聞かれています。

地域独特の人間関係に入り込むために、色々な行事に顔を出したり、力になったりということも求められるでしょう。

しかし様々な懸念点について事前に察知し防ぎきれるものでもありません。そこで改めて大事なのは、自分自身が地域おこし協力隊を通じて成し遂げたいことと、どのような将来を描いているかということを考えることだといえます。

様々な地域おこし協力隊

お笑いエンターテインメントで有名な吉本興業は、「あなたの街に“住みます”プロジェクト」を実施しています。地域おこし協力隊の制度を利用し、各地域に所属の芸人を派遣。2011年4月より開始した取り組みで、よしもと所属の芸人が全国47都道府県に派遣されています。

「観光名所・特産品のPR」や、地域のイベントの盛り上げ役として期待され、様々なメンバーが活動をおこなっている。地元企業とコラボレーションしたり、自治体と共にイベントを企画するといった展開も見られ、地方を盛り上げる活動のひとつとして注目されています。

参照リンク

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総務省の地域おこし協力隊関連情報