ゲストハウスやカフェなどをやりたいと思い立ったものの、問題なのが資金面。2015年に地域おこし協力隊として神奈川県から美馬市に移住し、日本初のオフグリッドハウス『アースシップ』を建てた倉科智子さん。クラウドファンディングやビジネスコンテストに応募し、資金確保に奔走しながら、自らの手で作り上げた理想の家は、2020年5月からゲストハウスとして開業します。

『アースシップ』とは…

アメリカ人建築家マイケル・レイノルズ氏が1970年代から建て続けるオフグリッド住宅。主な建築資材として古タイヤや空き瓶、空き缶を活用し、電気は太陽光や風力、水道は雨水といった自然エネルギーで賄うことで公共のインフラに頼らず暮らせます。地球と共存する家として注目を集め、現在世界中で1500棟以上が建設されています。

倉科さんによるアースシップ建設計画が現実的に進みだしたのは2016年。地域密着型の事業プランコンテスト“とくしま創生アワード”への応募がはじまりでした。「それまでアースシップを建ててゲストハウスにすることを具体的な事業として考えたことはなくて…。書類審査のためにプランを文字にした時、初めて思い描く輪郭がはっきりしてきたんです」。最終選考まで残ったコンテストでは、共感の声を聞くだけでなく、信用保証協会や銀行など事業を支援する機関と繋がったことが大きな収穫に。「信用保証協会を紹介してもらったんです。私の場合、ビジネスの経験も担保もなかったので融資を受けられるか分からなくて。信用保証協会の方と一緒に事業計画書を作ったり、建材の予算を出したり、プレゼンの資料を用意したりしました」。
周囲の勧めで2つのクラウドファンディングに挑戦。最初に利用した“READYFOR”では212万4000円を集めます。「支援の数が応援の声となって本当に励みになりました。ただ、全部ひとりでやっているので返礼品の手配だけでも数か月かかってしまって、簡単ではなかったですね」。その後、ふるさと納税を活用した“ふるさと起業家支援プロジェクト”に応募。一般的なクラウドファンディングと違い、目標に到達すると集まった寄付金額と同額の補助金が県から交付されるため資金は倍に。手数料がかからない上、返礼品の一部も提供されるため、起業家個人の負担を減らせます。倉科さんのプランでは150万円を募り、159万円が寄せられました。
資金集めに苦労や後悔はないと語る倉科さん。それは困る前に手を差し伸べてくれる人がいつもいたから。「徳島はコンパクトな分、機関の連携が取れているように感じます。親身になって愛情を注いでくれるのが分かるんです。起業する直前、徳島大学で開催されている“まちしごとファクトリー”への参加はとても役に立ちました。創業支援コーディネーターが講師となって事業計画書やプレゼンの作り方を教えてくれるんです。これから起業する人にはオススメです」。

 


円すい形の屋根が印象的なリビング。壁の中では土を詰めた廃タイヤが積み重なります。蓄熱と放熱効果に優れた土とタイヤによって室温がほぼ21℃に保たれます。


建設時の様子。アースシップの理念や建築技術を学びたいあらゆる国の人が集い、ワークショップ形式で行われました。


ベッドルーム。晴れた日は天窓から光が差しこみます。

 


漆喰の壁には空き瓶を埋め込んで明かりとりに。空間のアクセントにもなっています。

Earthship MIMA

 

ゲストハウスは2020年5月オープン。予約は2月末以降に開通するホームページの専用フォームより。料金は一棟貸し1泊4万円(定員4名)。

見学ツアー
解説を聞きながらアースシップ内を巡る約1時間のツアー。5名より受付。
<予約方法>
希望日時を第3希望まで明記し、ホームページ内のcontactからメール。
<料金>
5名~:1人800円
10名~:1人500円
15歳以下無料
※5名以下の場合は最少実施人数金額の5名×800円の4000円でツアーを実施。

アースシップ建設の相談
経験をもとにアースシップ建設の相談に応じています。
<予約方法>
電話番号と相談希望の日時を第3希望まで明記し、ホームページ内のcontactからメール。
<料金>
相談1時間につき5000円

https://www.earthshipmima.com/