(株)あわえ 東京オフィスにて 右:それいけシステムコンサルティング(株)の森 代表

 

それいけシステムコンサルティング株式会社は、IoT 及び AI を活用したシステムの研究開発を通じ、社会課題解決を目指す会社です。特に、最近では「『AI』×『生体情報』で儲かる農水産業と地方創生を」掲げ、日本のみならずグローバルな視点で食料危機の解決実現に取り組み、更に、自社技術を展開することで途上国の所得向上・貧困撲滅・教育水準向上に取り組もうとしています。

この度あわえの主催するマッチングイベントへの参加がきっかけで、養鶏がさかんな佐賀県有田町にサテライトオフィスを進出します。その背景や今後の展望などを代表取締役の 森 成史 様にお伺いしました。

 

地方進出を検討している企業のみなさま、ぜひ参考にしてみてください。
*マッチングイベントの詳細はこちら https://awae.co.jp/matchingevent/

 

 

地方に着目したわけ

 

あわえ:「儲かる農林水産と地方創生を軸に活動されている背景をお伺いできますでしょうか。」

森 様:「私自身地方出身ということもあり、地方には仕事がないというのを体感してきました。仕事がないと人が流出していきます。例えば農業でやる人がいなければその土地ならではの農業技術が継承がされずに終わってしまいます。日本は四季折々、土地柄も様々で、そこでしか生産されていない土着の農作物、その土地でしかつくれない農作物がたくさんあります。そこでしかできない農林水産業の仕事がもっと儲かるものにできたら人の流失も防げ都会から新規に移住する人が増え地方創生につながるのではないか、というのが最初のきっかけでした。」

あわえ:「地方にあるその土地ならではの農林水産業の仕事で儲かる仕組みをつくり、雇用を創ることが、地方創生にもつながるということですね。」

森 様:「そうですね。大手の会社や工場も雇用は生み出すけれど、海外移転や事業再編、倒産もありますので持続可能性は相手に委ねることになります。その地域でなくてはならないものも少ない。しかし、農林水産業は海外に移転するわけにはいきませんからね。」

あわえ:「農林水産業は IT が活用しやすい分野なのでしょうか?」

森 様:「農家さんの技術継承なんかもそうですが、IT に限らず、人や IT の関与でまだまだ儲かる仕組みづくりができる余地が沢山あると思っています。IT を活用することでより儲かる仕事になれば、地方に雇用が生まれるきっかけになります。」

あわえ:「土着の地方ならではの素敵なものに、IT の力を活用するわけですね。そこからさらに御社の提唱するグローバルの視点というのはどのような観点になるのでしょうか。」

森 様:「日本の農林水産業のレベルは世界的に見ても高いと思います、品質もいい。それをデータ化して見える化できれば、より競争力の高い生産物にできると考えています。わかりやすいのが、宗教に関係なく全世界で食べられている鶏肉です。日本は多くの鶏肉がブランドになっていますし、世界に売り出していけることが実証しやすいと思い、養鶏場での IT 活用つまり養鶏DXを実現しようと思いました。」

養鶏場の雛鳥たち

 

苦戦したスタート

 

あわえ:「養鶏については、ご経験があったのでしょうか?」

森 様:「いえ、全く。なので、岩手大学大学院連合農学研究科博士課程に社会人学生として入学し、農学の勉強をしています。」

あわえ:「ええ!新たにですか!」

森 様:「IT 会社ですからね、農学や植物も含めてしっかりした知識をもってやらないと。」

あわえ:「すごいバイタリティです。それから実証を進めるにあたって、養鶏場には自ら営業されたんですか?」

森 様:「それが大変でした(笑。東京のよくわからん IT 会社から電話があっても、一体誰?っていう状態で・・・。電話だけでは会うのは難しいし、話も進まなくて。」

あわえ:「そこでマッチングイベントに参加されたのですね。」

森 様:「はい。マッチングイベントで佐賀県庁に状況を説明したところ、お力添えいただいて、いくつかの県内の基礎自治体をご紹介してくれました。それがご縁で、地域の養鶏場をご紹介いただき、スムーズなスタートを迎えることができました。」

あわえ:「それが今回の実証実験を始められる、佐賀県有田町ですね。」

 

進出地域の決め手

あわえ:「複数の自治体とお話しをされたかと思うのですが、なぜ有田町に決められたのでしょう?」

森 様:「担当者様の熱意に尽きると思います。なかなか縁もゆかりもない土地で事業をするって実際不安もあるんです。東京の会社が地方で、その輪に入ってうまくやっていけるんだろうか、とかね。」

あわえ:「それを解消してくださった?」

森 様:「有田町の職員の方は、町としてしっかりとバックアップすると言ってくださり、実際に地元の養鶏会社のありた株式会社とも繋いでいただきました。松尾町長からも IT 会社の力で町に変化を起こしたい、有田町の未来を一緒につくりましょうという言葉もいただきました。」

あわえ:「そこまで御社のことを理解してくださって、パートナーとして見てくださっているのですね。」

森 様:「ほんとうにありがたいですし、まずやってみないとわからない、始まらないっていう気概や自分たちの郷土をなんとか良くしようという思いも感じました。」

有田町・それいけシステムコンサルティング(株)の連携協定締結式の様子

今後の取り組み

あわえ:「具体的には、有田町でどのような実証実験を予定されているのでしょうか?」

森 様:「IT、特に AI データを活用した養鶏管理システムの実証実験に取り組みます。具体的には、鶏の画像解析技術から取得できる生体情報を応用し個体管理・体重推定・健康管理を行うとかですね。」

あわえ:「AI でそんなことまでわかるんですね。」

森 様:「何万羽という個体を人の手で管理するのは手間もコストもかかります。そこを ITで代替できれば、省人化や省力化ができ儲かる養鶏の第一歩になると思います。」

あわえ:「なるほど。有田町での今後の展望などありましたら、お聞かせください。」

森 様:「地方に雇用を生み出すことですね。あまり多くはないかもしれませんが、有田町で働くメンバーを雇用したいと思っています。それから、IT 会社ですから、IT 人材を育てていきたいですね。有田町のDX人材育成という言い方もできると思います。」

あわえ:「御社のメンバーの育成ではなく、有田町での人材育成を行うということですか?」

森 様:「はい、私は人材こそ最大の武器だと考えています。2 万人という有田町の規模で、3、4 人 IT にすごく詳しいっていう人ができたら、その地域で何か困ったらその人に聞きに行きますよね?」

あわえ:「たしかに。まずは自分の身近な人に聞いてみますね。」

森 様:「そう、そういう頼れる人が身近にいるという環境をつくることが重要だと思っています。年齢も関係なく、学びたい意欲がある人が来て学び育っていくようにしたい。」

あわえ:「素敵ですね。有田町にとっても新しい人材創出のきっかけになりますね。」

森 様:「養鶏の実証実験は私たちのビジネスですけど、私たちが進出することによって市町村にどんなメリットがあるか、どんなことができるのかという視点があれば、他の市町村でも展開できると思うんです。特に地方って IT 会社が少ないので、自治体側にもメリットが大きいと思いますね。」

あわえ:「最後に、これから地方進出を考えられている企業にメッセージをお願いいたします。」

森 様:「ベンチャー企業こそ、チャレンジするなら地方の時代だと思います。私たちがまさにですが、ベンチャー企業にとっては、東京のように人口が多いところより地方のように人口が少ないところの方が、断然目立つし、その地域に与えられるインパクトが大きいと思います。現場は東京や都市部だけではないし、自治体と進出企業がお互いにプラスになる地方でのあり方を考えてみてたらいいと思います。」

 

森 様、インタビュー取材へのご協力誠にありがとうございました。

 

あわえのマッチングイベントhttps://awae.co.jp/matchingevent/

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