2017年に地域おこし協力隊として龍ケ崎市へやってきた松葉瀬直之さん。3年間の任期終了後も茨城県龍ケ崎市を舞台に活動されています。「移住前なら得られないつながりを持つ事ができた」と話す松葉瀬さんに龍ケ崎市での暮らしの様子やお仕事について伺いました。

プロフィール:松葉瀬 直之さん
神奈川県出身。事務機器の営業職を経て、2017年に東京都から家族で龍ケ崎市に移住。地域おこし協力隊としてグリーンツーリズムの推進に従事した。現在は、地元生産者とのつながりを活かして「たつのこ産直市場」で活躍中。家庭では1児の父。

龍ケ崎市の豊かな大地でのびのび子育て

ー松葉瀬さんは東京から移住されたそうですね。龍ケ崎市に移住したきっかけを教えてください。

移住を意識したのは、自然が多い場所で子育てをしようと妻と話し合った事がきっかけでした。茨城県は、以前より休日に霞ヶ浦へ釣りをしに来たりと親しみがあり、豊かな緑や土地が気に入っていたんです。なかでも、龍ケ崎市の広い空と開放的な土地に惹かれて、この土地に移住することを決めました。

こんなに広々としているのに、ここは東京都心から電車で約1時間ですし、妻の実家がある栃木県にも近いので安心感があります。茨城空港や成田空港へのアクセスも良いので、九州に住む私の両親にも会いに行きやすい事もポイントの1つとなりました。

ー子育ても移住理由のひとつなのですね。龍ケ崎市の子育て環境はいかがですか?

市内に買い物ができるお店が充実しているのは便利ですね。必要なものが身近ですぐ揃います。
また、龍ケ崎市は子育て世帯向けの支援が充実していて、18歳までの子どもの医療費助成制度があるのもありがたいです。市の窓口では、子育ての際に使える制度や手続き方法を教えてもらえるのでよく相談に行っているんです。
妻は「工作など小さな子ども向けのイベントがたくさんあったのが助かった」と度々話しています。

ー移住して数年経ちますが、お気に入りの過ごし方や場所はできましたか?

龍ケ崎市は、どこへ行っても開放感があり、家族でのびのびと過ごしています。自宅から少し歩くと、あたり一面に田園風景が広がっていて、散歩するのがとても気持ち良いんです。最近では、4歳になる息子を連れて長峰東公園に遊びに行くことが多いですね。高台から眺める景色が本当にきれいで、お気に入りの場所です。もう少し子どもが大きくなったら、一緒に市内でサイクリングができたら楽しいだろうなと思っているところです。

ー移住されてから、気持ちや生活に変化はありましたか?

移住前から家庭菜園が趣味で、東京では市民農園を借りて野菜を育てていました。龍ケ崎市に移住してからは、庭付きの一軒家に住むことが叶ったので、広い庭を使って家庭菜園を楽しんでいます。今では、たくさんの野菜に囲まれて、収穫が追いつかないこともあるくらいです。
家族が食べる野菜を私の手で育てられるのはとても幸せなことだなと思いますし、自分の野菜に限らず、龍ケ崎市の野菜はとても美味しいので、息子に新鮮な野菜を食べてもらえるのが本当に嬉しいんです。身近に農業があることで、移住してからは食育やフードロス解消の取り組みにも興味が湧いてきました。

これからは新鮮な野菜を通して地域と関わりたい

ー松葉瀬さんは移住した2017年からの3年間、市の地域おこし協力隊として活動されていますね。活動の内容や印象的な出来事を教えてください。

松葉瀬さん(左)と地元生産者のオーガニックファームパパの畑・井上元さん(右)

地域おこし協力隊としての主な活動は、グリーンツーリズムの推進で東京圏からの観光誘致のために農業体験やワークショップの企画と運営を行っていました。

なかでも印象的だったのは、市内の休耕地を利用して育てたひまわりから油を作るプロジェクトで、市内のNPOやツアー参加者の方と一緒に種まきから収穫、油の精製までを行いました。アイデアを出し合って企画した広いひまわり畑一面を使った巨大迷路は、市内外の家族連れによろこんで頂けたので、とても思い出深いです。

また、市内で開催されるマルシェの運営に携わることも多くありました。「日曜朝市やさい村」や「たつのこマルシェ」など、龍ケ崎市には生産者から野菜を直接購入できるイベントや場所がたくさんあるんです。

おかげで若手の新規就農者からベテランの農家さんまで、たくさんの生産者の方と知り合う事ができました。特に年齢が近い方が多いということもあり、新規就農者グループ「しんりょく会」のみなさんとはとりわけ親しくなりマルシェで共同出店する機会も多くありましたね。

マルシェで知り合った農家のみなさんとは今でも交流が続いていて、協力隊の任期が終了した後も、私が働く「たつのこ産直市場(※)」に野菜を卸してくれる方もいます。今日もしんりょく会の井上さん(※)が野菜を納入してくれたばかりです。

※たつのこ産直市場…龍ケ崎市運営の直売所。地元生産者の野菜や農産加工品が並ぶ。
※地元生産者の井上元さん(オーガニックファームパパの畑)

■「たつのこ産直市場」公式ホームページ
https://www.city.ryugasaki.ibaraki.jp/jigyosha/nourinsuisangyou/oshirase/tatsunoko-santyoku.html
■「たつのこ産直市場」インスタグラム
https://www.instagram.com/ryugasaki_chokubai/?hl=ja

ー現在働いているたつのこ産直市場での、毎日のお仕事で感じていることを聞かせていただけますか。

3年の任期終了後は、地域とのつながりを活かした仕事に就きたかった為、地元産の農産物を扱う「たつのこ産直市場」で働くことに決めました。
たつのこ産直市場の特徴は、なんと言っても「市内や近隣エリアの生産者が育てた野菜のみ」が並んでいる事です。季節や天気によっては、店頭に無い野菜があることも新鮮さの証かもしれません。例えば、玉ねぎが常時売っていないことをお客様に驚かれる事もあるのですが、このあたりでは真冬は玉ねぎが採れないんです。この場所がある事でスーパーでは感じられない「旬」を意識してもらえたらいいなと、いつも思っています。買い物にきてくれる方との、そんなやりとりも毎日の楽しみのひとつですね。

ー地域おこし協力隊時代の経験が活かされていることもあるのでしょうか?

毎日、天気予報を確認して取引のある生産者さんに、収穫の時期や納入する野菜の調整をお願いしているのですが、その際に今まで築いてきた関係に助けられていると感じる事も多いです。
最近では、新しく有機栽培に挑戦してみたいと話す生産者の方に、マルシェの出店で知り合ったオーガニックファームを運営する井上さんを紹介することもありました。

ー今後、龍ケ崎市で挑戦してみたいことはありますか?

たつのこ産直市場では、市役所と商店街で週に1回の出張販売を実施しているのですが、新鮮な野菜を移動販売車に載せて出店すると「家の近所で野菜を購入できるのが便利で良い」とよろこんで頂けることも多く、とても励みになっています。
最近では高齢の方から「まちの小さな生鮮食品店が閉店してしまい、離れた場所にあるスーパーまで買い物に行くのが大変だ」というお話を聞く事もあるので、地域に住む方の買い物の負担を減らせるように、もっとこうした出張販売の機会を増やしていけたらと考えているところです。

また、地域の子どもたちにも地元産の美味しい野菜に親しんでもらいたいので、子育て世帯が多く住むエリアでも積極的に出張販売してみたいですね。それをきっかけに、若い世代が食育に興味を持ってくれたらいいなと思っています。

ー最後に、龍ケ崎市に移住を考えている方にアドバイスがあれば教えてください。

まずは、気になる活動をしている団体を見つけて、自分が仲間に加わってみるのがおすすめです。龍ケ崎市の人たちはみなさん話しやすいので、自分から飛び込んでいくと笑顔で受け入れてくれるはずです。
マルシェやイベントに顔を出してみるだけでもいいかもしれませんね。長く地元に根付いて活動されている方のお話や、様々な世代の方のお話が一度に聞けるので、人とのつながりが広がって、とても楽しいですよ。