国産レモン発祥の地といわれ、レモン生産数日本一を誇る、広島県尾道市生口島。「レモンの島」と形容される島内には、すっくと立つレモンの木があちこちに。中でも、しまなみ海道を通る多々羅大橋の麓に位置するエリアは「レモン谷」と呼ばれ、レモンの一大産地として知られています。今回ここを訪れたのは、向島に工房を構える旬の果実を使ったジャムが人気の「コサクウ」代表・上杉裕加さん。その理由は「SETOUCHI+」オリジナルのレモンマーマレードを作るため。「レモン谷」で長い歴史を持つ「KATAOKA FARM」を訪ねました。

太陽と風に育まれたレモン栽培に適した土地

生口島から大三島を繋ぐ多々羅大橋を目の前に仰ぐ、生口島垂水地区のレモン谷。そのファンタジックな名称から「本当にレモンの谷が存在するの?」と聞かれることもしばしば。その答えはもちろんイエス。道路には標識も設置され、黄色い実がたわわに生る圧巻のレモン畑スペクタクルを目的に、サイクリストはもちろん観光客も訪れる人気スポットです。

上杉さんが訪ねたのは、この地で代々農業を営む「KATAOKA FARM」代表の片岡孝之さんです。農園の歴史を遡ること、なんと江戸時代!米や野菜、除虫菊などの栽培から始まった農業は、片岡さんの曾祖父の代からレモンなどを育てる柑橘農家へと転身。現在、10代目として柑橘畑を守る片岡さん。11年前からお父さんの跡を継ぎ、レモンの栽培に取り組んでいます。敷地内で育てる柑橘はなんと1000本以上。レモンはその半数を占め、昨年度の年間生産数は26トン。この広大な畑を、収穫期以外はほぼ1人で管理しています。

ジャム製作には、素材をつくる生産者さんを訪問し、実際に見て、触って、感じることを大切にしている上杉さん。今回、上杉さんが新しく考案するジャムは、レモンが主原料となるマーマレードです。「これまで、複数の柑橘を用いたマーマレードを作ってきましたが、レモンのみのジャムは初の試みです」と上杉さん。興味いっぱいにレモン谷、そしてレモン栽培について、片岡さんへ質問を投げかけます。

この地でレモン栽培が盛んになったのは昭和20年代。レモン谷と呼ばれるようになったのは、それから約30年後のこと。その理由は「その名のとおり、レモンがたくさん生っていたからですね。地域のおじさんが名付け、自然に広まったと聞いています」と片岡さん。続けて「レモン谷」が「レモン谷」たる理由を、穏やかな口調で話してくれました。

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SETOUCHI+  2022年6月29日
TEXT&PHOTO/大須賀あい