日本全国で5,000人以上が活躍している地域おこし協力隊。そのきっかけはさまざまですが、ひとりひとり地域に向き合い活動しています。

コロナ禍の影響などもあり、移住を考える人が増える中で、移住先での仕事として地域おこし協力隊が選択肢の一つとして定着してきているように思い印象があります。そして協力隊を卒業した後、その経験を活かして地域で自分のやりたいことを実現する人も増えています。

今回取り上げる方々は、地域おこし協力隊をしながらその後の自分のやりたいことの実現のための準備をしています。一人目の大沢なつみさんは地域で唯一となる子どものためのアートスペースを、二人目の間峠未希さん町からはなれた静かな環境で美容サロンを、三人目の橋本沙耶花さんは市内で初のIT企業を、それぞれ起業しようとしています。

移住先で自分のやりたいことを実現したいと思っている方には参考になるのではないでしょうか。

 

 \趣味のスノーボードが存分にできるまちへ/
#13  間峠未希さん(長野県中野市)

間峠隊員_高梨館跡-1

移住者と地域の人をつなぐ

移住・定住促進の担当をしていて、主な仕事は移住相談や移住セミナー、移住交流会の開催、移住体験ツアーの開催です。最近では今年廃校になった学校で思い出作りをする「感謝祭」を企画して、地元の方と一緒に開催することができました。

移住希望者×移住者×地元住民交流BBQフェス移住希望者、移住者、地元住民交流のバーベキュー

1年目は、平日は市役所に出勤して業務を行っていたのですが、2年目に入って自宅でも仕事ができるようになり、必要に応じて様々なところに出掛けていく形に変わりました。移住・定住の業務では、移住体験ツアーや交流会をブラッシュアップしながら続けていきたいです。また、業務時間外に、じつは美容サロンの開業に向けた準備をしていて、それも進めていきたいと思っています。

いつかは雪山の近くに移住したいと思っていた

ウインタースポーツ移住体験ツアー_20220312-13-3139 (1mb)-min

スノーボードが夫婦共通の趣味で、いつかは雪山の近くに移住したいと思っていました。コロナ禍で夫の会社が倒産し、それをきっかけに思い切って移住することにしました。夫はフリーランスで仕事を続けることにして、私は地域に溶け込むために地域おこし協力隊になるのがいいと思って、地域おこし協力隊の募集がある地域で移住先を探しました。

もともと美容サロンをしていて、移住先でもやりたいと思い、最初は起業型の募集を探しました。なかなかいいものが見つからない中で、起業型ではないものの、協力隊の業務をしながら起業の準備が進められそうで、場所も希望通りだった中野市を選びました。

中野市は志賀高原や斑尾高原に近く、1時間以内に行けるゲレンデが20ヶ所以上あります。今住んでいるところもスキー場まで車で20分くらいでいける抜群の立地です。

程よい距離感と静けさが快適

現在の住まいがあるのは、旧豊田村にあたる山あいの集落で、市の中心部までは車で30分くらいかかるので、スキー場のほうが近いくらいのエリアです。

もともと飼っていた犬を連れて移住するつもりだったのですが、犬を飼える賃貸住宅がなかなか見つからず、移住を諦めるかというところまで行きました。市役所の方に相談したところ、使われなくなった教員住宅なら犬を飼ってもOKということで移住することができました。

移住した先は、お年寄りも多い「田舎」ですが、周りの人たちが気を使ってくれて、程よい距離感で暮らすことができています。何より四季折々の山の風景に癒やされますし、鳥の声くらいしかしない本当に静かな場所です。埼玉に暮らしていた頃は大きな道路の近くに住んでいて始終車の音がしていたんですが、移住後は音のない生活の素晴らしさを実感しています。

草刈りなど集落の行事にはなるべく参加するようにしていますし、近所の一人暮らしのお年寄りの雪下ろしを手伝ったりもしていますが、やらせてもらっている感じです。野菜もたくさんいただきますし、今はりんごをいっぱいもらって困るくらいです。

屋根の雪下ろし3屋根の雪下ろし

自分がここで癒やされているので、サロンも、まちなかではなく静かな場所に開いて、癒される体験をしてもらいたいと思うようになりました。もちろんその分集客は難しくなると思いますが、それでもわざわざ来てもらえるような魅力を生み出すことができたらいいと思っています。

自分の「やりたい」を大事に

何のために地域おこし協力隊になるのかを明確にすることをオススメします。やりたいことをしっかり持って、そのために何ができるかを考え、それができる場所を選ぶ。私の場合は、雪山に近く、移住先もサロンを開業したいという思いで、そのための準備ができる中野市を選びました。移住後の生計を立てていくのはあくまで自分なので、そこはしっかりしておいて損はないと思います。

コロナ禍で直接訪れることはできませんでしたが、市役所の方にバーチャルツアーをしてもらい、まちのいろいろなところを見せてもらったのも大きかったです。予め地域のことを知っておくのは重要だと思います。

また、応募の段階からこちらの考えを伝えて、細かい部分まで役所と考え方のズレがないように話し合いをするのも重要だと思います。

長野県中野市のSMOUT地域ページへ >>
着任した年月:2021年10月
着任前の居住地:埼玉県さいたま市
出身地:埼玉県鴻巣市
着任前のお仕事:IT企業の事務・美容サロン