福島県田村市には、地域密着の立場で住まい探しのアドバイスやサポートを行う不動産会社があります。

田村市船引町で20年以上不動産事業を展開する、株式会社アップポイント。日々まちの方々とお話ししながら、土地・建物の不動産売買や賃貸等の仲介、賃貸物件や売却不動産の維持・管理、ファイナンシャル・プランナー(購入資金の相談、資金計画)などの業務にあたっています。地域性や市場性に関する情報にも精通し、田村市に地縁がない方が生活に馴染みやすいような情報提供や、起業や就職といった生業の検討についても、現状を踏まえた客観的で冷静な視点からアドバイスを行っています。

こんな方にオススメ!
・移住先の住まいを決めるにあたり、まちの状況に精通した方に相談したい
・移住先で起業を考えているが、思いだけでなく、地域性を含め冷静に検討していきたい
・豊かな自然の中で過ごす時間と利便性、両方を大事にできる場所に住みたい

移住とは、住む場所や活動場所を変えること。田村市への移住を考えるにあたり、住まいはどのように探し、決めていくとよいのでしょうか?市内の賃貸物件の状況や検討時のポイントについて、株式会社アップポイントの佐久間幸彦さんにお話を伺いました。

「『電気がつかない』といった入居中の突発的なお問い合わせの際も、現場に飛んでいきます。不動産屋というよりなんでも屋さんかもしれません。」にこやかに話される、佐久間幸彦さん

田村市の賃貸物件の数、間取り、家賃について

田村市には、築年数が古いものから新しいものまで、およそ1300世帯の賃貸物件があります。このうち約1200世帯は田村市の市街地にあたる船引地区に集中しており、滝根、大越、都路、常葉のアパートは数棟のみ。この4地区では一戸建てに住まう方が多いですね。一般的な賃貸住宅が中心で、事務所や店舗として利用できる事業用物件や、改装などの特殊なことが可能な物件は非常に少ないです。

1300世帯の間取りや家賃ですが、まず単身者向けの1K・1Rの物件が約200世帯。家賃は、築年数の経過がある物件ですと3万円を切るくらい、新築の1Rですと5万円前後です。大人2人や小家族向けの1DK〜2DKの物件が約620世帯。家賃は3万円台後半から、新築の1LDKだと6万円以上です。ファミリー向けの2LDK以上の広さがある物件はおよそ480世帯。家賃は築25年以上の古い物件の場合は5万円台から、新築の2LDKだと7万円前後です。

通勤を含む毎日の生活には自家用車がほぼ必須ですので、家賃のほかに駐車場代も予定していただくとよいと思います。ペットOKの物件はまだ少ないですね。船引町内にある賃貸物件の約25%が築25年以上経過しているのですが、物件完成当時においては「ペットはNG」というのが業界の全体的な主流だったんです。2020年の民法改正で、お部屋を退去する際の原状回復や修繕義務について条文に明記されたため、経年劣化以外の損耗について修繕費を負担する必要はあるものの、その分ペットと一緒に住める物件も徐々に増えると思われます。

空き家の賃貸は、ご紹介できる物件数が多くないのが実情です。築年数が古く空き家の期間も長いとなると大規模な修繕が必要となるため、修繕依頼があった際の費用を心配される所有者さんが、貸出自体を躊躇される傾向があります。それでも主に船引町内から「うちで持っている戸建ての空き家を貸したい」というご相談を年に数件ほどいただきます。

築年数の古さや登録物件が少ないという状況はあれど、修繕は見方を変えればDIYの可能性でもあります。また田村市には、ご近所さんとの係わりあいが実生活に密接につながるローカルコミュニティの文化がありますので、まずは賃貸物件や市営住宅に住み、地域の方と仲良くなるうちに本当に希望する地区や物件を紹介してもらって、住まいを見つけている方もいらっしゃいます。

増加する移住検討中の方からのご相談。地域に根ざした目線から客観的な情報をご案内

日々、様々な方から賃貸のお部屋探しのご相談をいただきますが、ご相談の50%は従業員向けの社宅を探されている企業さんです。市内では現在、大規模風力発電の開発工事や送電線の建設工事が行われており、海外から働きに来られている方も多くいらっしゃいます。また工業団地の整備や立地協定締結も進んでおり、工場操業への準備が加速しています。企業さんとしては住む場所の提供を福利厚生として雇用につなげていく狙いがあり、法人社宅賃貸の相談が私たちに入ってきます。

そして最近増えているのが、移住して来られる方からのご相談です。就職やUターンなど理由はそれぞれですが、およそ10人に1人くらいの割合ですね。なお起業に伴い事務所と住居を兼ねた用途で探されている方は非常に少ないです。事業内容によって適切な事務所の構え方は変わりますので、ご自身の事業内容に合わせて独自に動かれている方も多いのではないかと考えています。これまでご相談いただいた例としては、開業当初に事務所兼宿泊場所として物件を借りた方がいらっしゃいました。特殊な用途で賃貸可能な住宅は少ないものの、詳細な内容や大家さんのご判断で変わることもあります。

移住をお考えの方にお伝えしたいのは、住む場所を検討しないまま「行けば何とかなるだろう」という感覚で引越してこられるのは、おすすめできないということです。また賃貸物件に住むためには入居審査や賃貸契約を経る必要があり、収入に通じる生業の準備も重要です。就職される方は、内定通知があればどの賃貸物件でもほぼ入居可能ですが、起業して生計をたてられる予定の方は、市場性の調査やマーケティングといった事前準備が必須。私自身はファイナンシャル・プランナー業務もやっているので、予定されている事業が田村市で成り立つのか、何をどうしたらよいのかについて、できうる限りでご説明やご案内をするようにしています。

ここはどんなまち?起業を考える方は地域が持つ市場性に注目を!

田村市って、どんなまちでしょう。「田畑が広がる自然豊かな地域」というと、キャンプをイメージされる方も多いと思います。となると、住宅や商店が集中する船引地区はキャンプの市場性が低い…ように見えて、何か足りないものがあったときにすぐ買いに行けるという良さがあります。木こりは、この地域では需要があり続ける職業ではないでしょうか。市内には住宅周りや送電線などに引っかかりそうな木を定期的に整理したいというニーズがありますし、なり手も少ないとなると、引き合いは多いでしょう。人がいる場所に売りに行くキッチンカーという業態は、住宅や人口の密集地区が少ない田村市の地域性に合っています。出向くことで人に知ってもらえる可能性が広がり、固定店舗を構えるよりもブランド構築のスピードを上げやすいかもしれません。

またこの地域は地盤が固く、海や大規模河川から遠いため、地震や水害のリスクが少ない。災害に強い土地は企業にとって非常に魅力的で、だから工業団地の整備が進むんです。100〜150人規模ながら主要な農業・工業機械の部品を作る企業の工場や、関東に本社があり日本で唯一の工場を田村市に置く企業、世界に通用する技術者が集まっています。高速道路のインターチェンジが近く、首都圏との行き来がしやすいことも大きなメリットです。

こうした市場性に関するお話のほか、各種事業者向けサービスや店舗運営にまつわる保険などもご案内しています。ご相談に来られた方が都会の不動産会社と差異を感じることの無いよう、サービスレベルには日々気を遣っています。また起業に向けた基礎情報を埋められるシートを独自で作りお配りしています。開業理由や開業予定の場所、資金目処などは、どこかのタイミングで必ず検討が必要になってきますから。起業を予定されている方はぜひ、この地域の良さを踏まえた生業をお考えいたければ幸いです。

地に足ついた情報収集と判断が、移住を考える際の安心につながります

賃貸物件が集まる船引地区を中心に生活をイメージしてみると、まず量販店が多いので生活必需品の購入には困りません。車で30分も走れば工場がたくさんある常葉・大越地区や、自然豊かな滝根・都路地区に出られます。信号が少ないので、もっと速いかもしれませんね。県内の主要都市である郡山市には45分ほどで出られ、新幹線や高速道路といった交通の利便性にも恵まれています。田村市は豊かな自然を楽しむ時間と毎日の住みやすさ、どちらも手に入れやすい生活環境です。

震災やコロナ禍などを機に、お仕事やUターンで移住して来られる方が増え、小規模の賃貸物件の建設が進んできました。一旦アパートに落ち着いた方が、社会人年数を重ねて資金を蓄え、あるいは家族が増えるなどして、住宅の新築や中古住宅を購入するアクションが今後増えていくと思います。

アップポイントさんの事務所近くの船引町の一角。一面田んぼだった風景の中にアパートや戸建てが建ち、数も年々増加。「この風景もどんどん変わっていくでしょう」と佐久間さんは見立てる

移住成功の秘訣は「その地区について地に足ついた客観的情報を集め判断していくこと」ではないかと考えています。誰でも、どこからでも見ることができるWebサイトやSNSには、移住や起業における魅力的な情報がたくさん紹介されていますが、別の切り口からの情報は得にくいもの。田舎というと「いろいろ無い」イメージがありますが、仕事や環境含め、「この地域だからある」というものがたくさんあります。さまざまな方とお話しする中で私たちが把握し、分析してきた情報がありますので、ぜひご相談くださいね。

株式会社アップポイント

住所:福島県田村市船引町船引字扇田231-1
電話:0247-81-1571
営業時間:9:00~18:30
定休日:水曜、第3火曜
駐車場:あり
HP:http://uppoint-tamura.com/
お問い合わせ:電話のほか、お問い合わせページからもお受けしています。

 


この記事を読んで田村市での生活に興味を持った方、移住を検討している方は、お気軽にたむら移住相談室へご相談ください。

たむら移住相談室

Web:https://tamura-ijyu.jp/
電話:050-5526-4583
メール:contact@tamura-ijyu.jp
※たむら移住相談室は株式会社ジェイアール東日本企画と(一社)Switchが共同で運営しております。