働き方改革やコロナ禍によって人々の働く意識が大きく変わっています。国も多様な形で地方の活性化に貢献する「地方創生テレワーク」を推進しています。
その地方創生テレワークに先進的に取り組む企業・団体を表彰する「地方創生テレワークアワード表彰式」(内閣府)が、2022年2月18日にオンライン開催されました。表彰を受けたのは株式会社リコー(東京本社)など5社。リコーの連携パートナー自治体として富良野市も紹介され、事例発表では富良野でのワーケーションの模様が取り上げられました。

表彰状を手にしたリコーの山下良則社長と富良野市の北猛俊市長

地方への新しい人の流れに貢献する企業・団体を表彰

すべての受賞者によるオンライン上での記念撮影も行われた

「地方創生テレワークアワード」とは、会社を辞めずに地方に移り住む転職なき移住、ワーケーションなどによる関係人口の増加、東京圏企業による地方サテライトオフィスの設置など、都市部から地方への人の流れを加速させ、多様な形で地方の活性化に貢献する企業・団体を表彰するものです。企業・団体からのエントリーを受け、外部有識者による審査会を経て受賞対象者が決定しました。受賞企業・団体は以下のとおりです。

  • キャップクラウド株式会社(連携パートナー自治体:富士吉田市)
  • コミカミノルタジャパン株式会社(連携パートナー自治体:富士市)
  • G&Cコンサルティング株式会社(連携パートナー自治体:美馬市)
  • ビッグローブ株式会社(連携パートナー自治体:別府市)
  • 株式会社リコー(連携パートナー自治体:富良野市)

主催者として冒頭であいさつを述べる赤池誠章内閣府副大臣

表彰式では、まず赤池誠章内閣府副大臣があいさつ。実施の初年度にもかかわらず85ものエントリーがあったことに触れ、「受賞団体および連携パートナーの皆様方には心よりお喜びを申し上げますとともに、本日の受賞を契機として取り組みをさらに進化、発展していただくことを期待しております」と述べました。
審査講評では、東京大学公共政策大学院客員教授・増田寛也氏が「総じて受賞者の皆様の取り組みは大変優れたもの」と称えたうえで、リコーの事例については「単に制度があるというだけではなく、広く取り組みを行い、活用しているという点を評価しました」と述べました。

企業が行うワーケーションのひとつのモデルに

2021年11月富良野自然塾にて、リコーの入社2年目の社員たち

引き続き受賞事例発表が行われ、リコーからは人事サポート室働き方変革・D&I推進グループの鶴井直之氏が登場。リコーが実践する働き方変革の紹介に続いて、事例としてトップ自ら富良野で行ったワーケーション実証実験や、入社2年目の社員12名による富良野での3泊4日の合宿研修型ワーケーションについて紹介しました。山下良則社長が富良野で感じたこととして「滞在中のワクワク感とか、地域の方々との交流による喜びが、人生を豊かにしてくれる気がした」という声も届けました。

富良野ではリモートワークの合間に農作業のお手伝いも体験

2年次社員については、コロナ禍まっただ中での入社であり、同期との交流や仲間意識の醸成ができていないことが大きな課題だったとし、希望者を募ったところ定員の3倍を超える応募があったと報告。富良野では「通常業務のリモートワークに加えて、環境、SDGsの教育、地域の企業や高校生との意見交換、農作業のお手伝いなどを体験し、環境問題や地域課題に関する理解を深めました。メンバーの連帯感も非常に高まり、よい関係構築ができました」と、中身の濃い4日間を振り返りました。
「ワーケーションにはいろんな解釈があると思いますが、単なるワークとバケーションということではなく、企業が行うワーケーションのひとつのモデルになるのではないかと感じています」と、今回のトライアルから得た確かな手応えについても報告しました。

表彰式は1時間20分程度で終了。コロナ禍の中、オンラインによる開催でしたが、多くの人が自宅や職場で視聴し、地方活性化に貢献するテレワークの実例を広く周知する絶好の機会となりました。

新しい働き方に力を入れる企業には優秀な人材が集まる

ゴルフ場跡地を元の森に還す富良野自然塾の「自然返還事業」

「地方創生テレワークアワードの受賞は、多様な働き方に力を入れている企業であることの証になると思います。受賞した企業は、優秀な人材から『選ばれる企業』になっていくのではないでしょうか」と話すのは、NPO法人富良野自然塾(倉本聰塾長)のプロジェクトマネージャー・中島吾郎さんです。
リコーが富良野で行ったワーケーションでは、環境教育プログラムの提供など富良野自然塾が大きな役割を果たしました。自然の中でのびのびと働く若手社員たちを目のあたりにした中島さんは、「都会やオフィスでは出てこないようなアイデアも、大自然の開放感の中に身を置くことで生まれやすかったのでは」と言います。

心が豊かになるロケーションが仕事の発想も広げてくれる

ネットワーク環境さえあればパソコンを持って大自然の懐へ

都会の喧騒を離れた自然空間でありながら、同時に街としての利便性も整っているのが富良野の特徴です。
「富良野でワーケーションを体験してみて、社員の方からは『Wi-Fiがもっと速ければうれしい』といった意見も出ていました。受け入れる側にしてみれば、そういう気づきがあったこともトライアルの成果です。それらをフィードバックすることで今後はもっと快適にリモートワークができる環境を整えていけたらと思います」

富良野市・北猛俊市長からのメッセージ

富良野市では現在、2022年夏に向けて市内全域に光回線の整備を進めています。さらに次の段階として、それを活用してWi-Fi環境の改善に向けて検討したいと思っています。そうなると大自然の中、どこに行ってもストレスなく仕事ができるようになるでしょう。標高差が1000メートルぐらいある『富良野スキー場』の頂上で、雄大な富良野盆地を眺めながら仕事をする。考えただけでも楽しくなりませんか。

東京圏からだと羽田空港から旭川空港へ、そこから富良野へはバス移動(約1時間)です。トータルで3時間もあれば移動できるため、ほどよい距離だと思います。旭川空港から富良野への道中に十勝岳を望むことができます。バス車内で移動中、そうした美しい景色を眺めながら働くのもおすすめです。リラックスすることで、よいインスピレーションもわいてくるのではないでしょうか。

<富良野自然塾>
https://furano-shizenjuku.com/

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SMBC環境プログラム NPO法人C・C・C富良野自然塾

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<関連サイト>
富良野・研修・ワーケーション

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