太陽を反射し輝く穏やかな海の青、晴天の澄んだ空の青、瀬戸内に暮らしていると、日々さまざまな青に包まれます。その景色や文化を、「ジャパンブルー」とも称される藍染で表現するのが、尾道市向島に工房を置く「海色空色工房」です。今もなお、自然由来の材料のみを用い、藍染めや草木染めで丁寧に表現された、上質でおしゃれな染め製品をご紹介します。

 

染めに投影するのは美しいしまなみの景色

尾道水道を挟んで尾道と向かい合う向島。サイクリングや観光客で賑わう自然豊かな山里の一画に、昔ながらの技法で染色をおこなう小さな工房があります。

「海色空色工房」と名付けられた建屋で、本藍染め製品を中心に「染め」を手掛けるのが、染色作家の梅阪尚美さんです。

大阪生まれの梅阪さんが、祖母が住む向島に移り住んだのは小学生の頃。高校卒業後は、京都芸術短期大学で染色技術を学んだといいます。その後、大阪のデザイン事務所でデザイナーとして活躍。息抜きとしていた草木染の魅力を再認識し、故郷へと戻り、2015年に、藍甕を備えた同工房を立ち上げました。

四季折々の草花が咲き誇る手入れの行き届いた庭には、深いブルーの染物が風になびいています。梅阪さんが作品に投影するのは、生まれ育ったしまなみの青。島がもたらすものづくりの環境と、これまでの経験で培った独自の審美眼で、自然由来のさまざまな作品が生み出されているのです

 

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TEXT/大須賀あい PHOTO/大須賀あい、松枝修平