みなさんは富良野市の山部(やまべ)地区にある山部自然公園太陽の里をご存じでしょうか?
実はいま、富良野市ではこちらの園内にあるキャンプ場に関するクラウドファンディング型のふるさと納税を実施中ということで、キャンプ場の管理を行なっているNPO法人 山部まちおこしネットワーク 理事長の吉中 文也(よしなか ふみや)さんへお話を伺いました。
ご自身の吉中農園でメロンやスイートコーンなどの農作物を作るかたわら、地域活動にも精力的に取り組む吉中さんからは、山部のまちづくりに対する20年の変わらない熱い想いが伝わってきました。

画像

太陽の里 キャンプ場

年間3,000人の学生が訪れる?!富良野市山部の取り組みとは

ー山部まちおこしネットワーク立ち上げの経緯を教えてください。

「立ち上げは20年前。『このままだと山部のまちが無くなってしまう』という危機感から、このまちに住んで良かったと思えるまちづくりをしていこうというコンセプトで始まりました。
それまでは農業従事者・工業従事者がそれぞれに活動することが多かったのですが、これを機にみんなで協力しながら、まちのため・子どもたちのために賑わいをつくるという目的で、山部商工会が中心となって立ち上げ、志を持った人たちや我々農業従事者などが入っていったんです。」

ー太陽の里の指定管理受託以外にどんなことをされていらっしゃるのでしょうか?

「関西地方の高校を中心に修学旅行生を受け入れていて、農業体験などの非日常を経験してもらっています。富良野農業体験受入協議会という団体をつくり、取り組みに賛同してくれる農家さんを集めたり、富良野圏域の一般事業者さんにご協力いただいて実施しています。2022年は3,000人ほどの学生を受け入れました。」

画像

気軽に使えて大自然を一望できるキャンプ場

ー太陽の里 キャンプ場の指定管理が始まったのはいつからですか?

「2018年から始まって今年で6年目です。今年から3年間の契約なので、合計8年になりますね。
我々の方針として、利益はまちのために還元する、意義のあるところに使うという考えがあります。商工会やまちの人々が必要としているモノの購入やコトの消費に回しています。」

ー太陽の里のおすすめポイントを教えてください。

「まず第一にキャンプ場が無料で使えることですね。さらに園内には安価な宿泊棟やレストランもあります。観光シーズンの富良野市街地は宿泊施設が満室状態になりがちですので、市街地からは少し離れますが、ぜひ利用していただきたいですね。
また、レストランのメニューにある溶岩プレートを使った石焼ジンギスカンもおすすめです。地域の方がよく利用する隠れた富良野グルメです。」

画像

園内でできる自然散策の様子

ー太陽の里はレストラン以外も、富良野市民の方々が利用されている印象がありますが実際はいかがでしょうか?

「園内にあるステージでは、地域の方が中心となってイベントを開催することもありますね。大きいものだと、毎年8月上旬にゆうふれ音楽祭という音楽イベントを実施されています。
今年は市外から山部地区に移住された方が、ステージを使って結婚式をされていました。太陽の里は芦別岳の麓に位置するので景色がとても良いですし、屋外ということで伸び伸びできますよね。とても素敵な使い方だったなと感じています。
事前に予約いただければ無料で貸し出していますので、有効活用してもらえたら嬉しいです。」

画像

ステージ(音楽堂)

「外」の人から教わった、当たり前だった景色の素晴らしさ

ー今回のクラウドファンディングの前身として、吉中さんも参加された太陽の里に関する官民連携ワークショップがあったようですが、その中でどんな気づきがありましたか?

「太陽の里を外から見ている方の意見は、我々が気づいてないことが非常に多かったです。
僕にとっては側にある当たり前の景色・自然環境なんですが、『こんなに立派な自然公園は数少ない』『自然公園内で行われている取り組みを無くさずに続けてほしい』という意見や要望がありました。
園内には、ホタルが棲む環境を整備し守っている貴重な場所があるのですが、富良野旅行の最中にワークショップの存在を知って参加された方が、ホタルの保護活動のことを知ってくださっていて、『本当に自然守りたくて、自然を生かして行っている事業はとても貴重なので、しっかりと残していってくださいね』と声をかけてくれたことは嬉しかったですね。」

画像

ワークショップ参加者の集合写真

山部のまちは無くならない、無くさない

ーこれから太陽の里をどんな場所にしていきたいとお考えでしょうか?

「課題として感じているのは、先ほどお話したステージの利用増加です。せっかく苦労して作り上げたものですし、今のままだと少しもったいないなと。
以前はコンサートのような形で使っていただいたこともあるので、自然と隣り合わせのステージ環境を求めている方の目に留まってくれたらいいですね。そのためにプロモーションもしっかり行っていきたいです。

また、山部の知名度向上を目的に旅行業界の企業と連携して、特産品や加工品の開発、イベントによって人を誘引し、そこで開発した特産品や加工品などの物販をするというような取り組みをしようと話を進めています。
やってみたいとは思いつつ、なかなか手が回らず資金の課題もあったんですが、今回ありがたいことに縁あってようやく動き出しました。これを機会に太陽の里という場所も紐づけて、山部に賑わいをつくっていきたいです。」

画像

太陽の里 キャンプ場の全体像

クラウドファンディング型ふるさと納税とは

<クラウドファンディング型ふるさと納税とは>
ガバメントクラウドファンディングと呼ばれる、ふるさと納税制度を活用して自治体がプロジェクト実行者として行うクラウドファンディングのこと。
自治体が抱える課題解決のため、ふるさと納税の寄附金の使い道をより具体的にプロジェクト化し、そのプロジェクトに共感した方から寄附を募る仕組みとなっており、ふるさと納税の使い道に特化しているだけで、お礼の品から選んでいたふるさと納税と基本構造は同じため、寄附した人の所得税と住民税から寄附金額に応じて一部が軽減(控除)されます。

今回の舞台となるのは、富良野市街地から車で20分ほど離れた山部(やまべ)地区にある太陽の里 キャンプ場。ここは夏には地元の子どもたちの遊び場として、また登山口に隣接していることから登山客のキャンプ場として市内外から愛される場所です。
かねてより官民双方から『市外の人たちにキャンプ場をもっと魅力的にみせたい、富良野市の自然環境保全に対するスタンスをより感じてもらえる場所にしたい』という声が多く上がっていたこのキャンプ場。
そこから官民が共創し、キャンプ場のゴミに関する課題を通じた富良野市のリサイクルの取り組みアピールと、リサイクルボックスの利用者・運営者双方の使い勝手向上を図るため、資金を募ることとなりました。

通常のクラウドファンディングやふるさと納税と同様、ご寄附いただいた方には返礼品が用意されており、ふらのワインやお米、スイーツ、ジンギスカンなどの富良野市の特産品や、自然環境保護に関わることができるチケットなどをご用意しています。

募集期間:2023年8月1日(火) 〜 2023年10月31日(火)