目指すのは、プラットフォームビジネスの“お祭り版”

代表の加藤さんがお祭りの魅力にはまったのは、東日本大震災の年に見た青森のねぶた祭りがきっかけだったと言います。

「放射能の不安もあって、例年に比べて観光客も減少、外国人も全くいませんでした。そもそもお祭り自体が自粛ムードだったのです。しかし、ねぶた祭りの期間が始まると、何事もなかったかのように地元の人達がめちゃくちゃ盛り上がっていて、強い衝撃を受けました。自粛ムードの日本で、ひさびさに見た元気な人々だったんです。大変な時期にあっても、日本人の活力を引き出すのが祭りであり、実はすごい底力を秘めているのではないかと気づいた瞬間でした。」

実際にオマツリジャパンがピッチやプレゼンテーションで使っているスライドの一部

このような特化型の課題解決プラットフォームには、弁護士をはじめとした士業向けのプラットフォームや、アウトドアサービスのプラットフォームなど、他分野で大きく成功しているベンチャーが複数存在しており、オマツリジャパンも同様に、堅実に伸びる可能性を感じさせます。

さらに、「カネ」の部分に関しては、お祭り特化型のクラウドファンディングサイトも2017年中のリリースを計画中とのこと。地方銀行との提携も決定し、避けては通れないお祭り資金需要にも正面から向き合う姿勢を見せています。

オマツリジャパンが投資家やVCから評価されてきたのは、地域の小さな祭りにも経済的・文化的価値があることに気づいた上で、それがビジネスになるのだと示せたところにあります。コンサルティングとプラットフォームの両面からお祭りを盛り上げるパイオニアとして認知されるよう、全国30万件あるお祭り主催者へどうアピールするかが、今後の成長のポイントとなりそうです。

日本全国にあるお祭りの主催者は、多くの場合がボランティア。だからこそ、加藤さんは「お祭りを早く安く簡単に作れるサービスを通じて、主催者の負担を減らし、お祭りでもっと日本を元気にしたい」と意気込みます。先行者のいない「お祭りコンサル」に挑む、オマツリジャパンの新しい挑戦は続きます。

●全国のお祭りが楽しく探せるサイト「オマツリジャパン」
https://omatsurijapan.com/
●お祭り主催者向け、お祭りを早く安く簡単に作ることができる「オマツリジャパンリーダーズ」(登録無料)
https://omatsurijapan.com/leaders/

取材・文:編集部
写真提供:株式会社オマツリジャパン

●加藤 優子

1987年練馬区出身。2012年武蔵野美術大学油絵科卒業。 日本の伝統文化好きが高じて、漬物メーカーに就職したかたわら、オマツリジャパンの活動を開始。2014年に一念発起して退職し、オマツリジャパンを任意団体として創業し、2015年に法人化。好きなお祭りは青森ねぶた祭り。

●株式会社オマツリジャパン 会社概要

  • 所在地:東京都新宿区高田馬場3-3-1 ユニオン駅前ビル7F
  • 設 立:2015年11月 (創業 2014年7月)
  • 代表取締役:加藤優子
  • 事業内容:お祭りプロデュース事業、お祭りツアー企画事業、情報発信・プラットフォーム事業
  • 主要株主:創業者、キリンホールディングス株式会社、かんしん未来投資事業有限責任組合、株式会社ゼロワンブースター、他 個人投資家数名
  • オマツリジャパン コーポレートサイト

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