全国的な人口減少トレンドの中、新たな豊かさの創造に取り組む市町村長がいます。どこで暮らし、働くか。移住や事業創造を目指すNATIV.読者の皆様に新たな価値軸、判断軸を提供するべく、”クニ”づくりの先端を走るトップと、実務を担う公務員の方々の生の声をお届けします。

第一回 奈良県生駒市

生駒市は奈良県最北部に位置し、生駒山を挟んで大阪府に隣接しているベッドタウン。大阪中心部から電車で約30分の郊外住宅地であり、県外就業率は50%を超えています。利便性に注目が集まり、地域に対する愛着度は低いと思われがちですが、生駒市民の定住意向率は85.7%と、全国平均よりも20ポイントも高くなっています。突出して高い”民忠誠度”をいかに維持しているのか、そのクニづくりに迫ります。

市長 小紫雅史さん
定住意向率85.7% 市民に愛されるベッドタウンから始まる「自治体3.0」 - 公務員の副業解禁&官民連携イノベーション

いこまの魅力創造課 課長補佐 大垣弥生さん
広報誌革命に続いてオトナ女子会を事業化。 前例に捉われない実践で市民の地元愛を育む

奈良県生駒市

・人口 : 12万870人(2017年度)
・税収 : 2109億円 (2012年度)

第二回 三重県鳥羽市

全国の海女(あま)の約半数が働き暮らす三重県鳥羽市。伝統の継承にとどまらず、海女文化の価値を漁業・福祉・観光・環境の視点から多角的に再定義し、地域資源として生かし始めています。その顕現としての「海女のまち条例」をはじめ、具体的な施策を伺いました。

市長 中村欣一郎さん
全国初「海女のまち条例」を制定。海女の”当たり前”を地域資源と定義し活用する

企画財政課 岩井太さん・観光課 高浪七重さん
市民が主役で行政は黒子。漁業と観光と福祉の連携を通じたまちづくりとは?

三重県鳥羽市

・人口:1万8,359人(2018年度)
・石高:775億円(2009年度)

第三回 茨城県つくば市

つくば市は研究都市として全国的に有名であり、博士号を持つ住民は日本でもっとも多い。しかし筑波大学を卒業した若者たちが外部に流出してしまうなど、せっかくの研究シーズがありながら若い世代を中心に地域への定着ができていない課題があります。またつくば駅前の西武百貨店やイオンなど大規模店舗が撤退するといった商業施設の空洞化にも頭を悩ませています。スタートアップ戦略によって雇用創出と産業誘致を進め、優秀な若者たちの定着と彼らの要求水準を満たすような教育改革を実施しようとしています。

市長 五十嵐立青さん
研究都市の強みを生かし、最先端の公教育& スタートアップ・シティへ

スタートアップ推進室長 塚本 健二さん
つくば市がスタートアップ推進室を新設。南極経験を持つ初代室長の本気度

茨城県つくば市

・人口:23万4,455人(2018年度)
・石高:1兆4793億円(2015年度)

第四回 岩手県久慈市

久慈市は岩手県北東部に位置し、青森県南部地方と三陸の文化が交差する陸海の要衝として発展しました。域内で多く採れる琥珀は奈良や京の都にも贈られ、古くから交易が行なわれてきたことを示しています。600年もの歴史を持つ久慈秋祭りは地域住民が自ら資金とマンパワーを出し合って毎年新しく制作する大きな山車が街中を練り歩き、信号や標識も祭りの日に山車をよけるためだけに可動式になっています。2011年以前にも1896年、1933年、1960年と定期的に津波被害に遭っている地域では高台集落が多くなっており、昔からの言い伝えを守ることが先祖代々受け継がれています。

市長 遠藤譲一さん
地域内外の人とのつながりが地域への誇りと愛着をつくる。「あまちゃん」のまちづくり

地域づくり振興課係長 二又 壽大さん
秋祭りを筆頭に、高校生の地域活性化活動や東京でのふるさと会で心をつなぐ

岩手県久慈市

・人口:3万6,100人(2017年度)
・石高:1389億6000万円(2017年度)

著者 東大史(ローカルイノベーションプロデューサー)


2008年より地域活性化事業に携わる。2011年、地域おこし協力隊一期生として岡山県美作市に移住。集落営農化や都市農村交流、自然エネルギー導入など、現場発の事業立ち上げを成功に導く。その後、地域おこし協力隊の地域横断型ネットワーク一般社団法人村楽を設立し、理事に就任。2015年4月 まち・ひと・しごと創生本部「地方創生人材支援制度」の民間派遣人材として北海道奈井江町のふるさと創生アドバイザーに就任。地域の民間企業を中心とした地域経済活性化を志向している。