2020年のトレンドのひとつにあげられるのが「事業承継」です。その背景にあるのは、経営者の高齢化や後継者の不在による廃業の波です。調査によると、年間約47,000件が廃業しており(2018年)、この流れは今後も加速すると言われています。

従来は、同族承継と呼ばれる親から子へという事業の引き継ぎが主でしたが、その傾向は年々弱まり、内部昇格や、外部招聘の傾向が高まっています。つまり、事業承継の標準的なかたちが、「第三者承継」にシフトしているのです。

この流れを後押しするのが、インターネットの普及に伴って登場した事業承継のマッチングサービス。M&A=「Mergers(合併)」「Acquisitions(買収)」と呼ばれる企業買収と合わせて、M&A・事業承継という分野で、多数のサービスが立ち上がっています。

ライフ・シフトの文脈でも、M&Aや事業承継を通じて、サラリーマンから経営者への転身や、地域での活躍の仕方のひとつとして事業承継を行うなども選択肢として示されるようになり、多くの人にとって身近なものになりつつあります。

今回の記事では、個人でも利用しやすい事業承継の分野で注目のサービスを厳選しました。

Batonz(バトンズ)

バトンズは東証一部上場の日本M&Aセンターのグループ会社の株式会社バトンズが運営する国内最大級の成約実績を誇るM&A総合支援サービス。銀行や信用金庫など日本一の企業提携数を誇るのも特徴です。

TRANBI(トランビ)

国内最大※の事業承継・M&Aプラットフォームをうたうのがトランビです。仲介会社が話しを進めるのではなく、WEB上で直接連絡をし、交渉を行うのが特徴です。成功事例も多数掲載されています。

BIZMA(ビズマ)

「地域経済を支える中小企業の成長を実現する課題解決プラットフォーム」として、事業承継だけでなく、売上拡大や後継者育成など幅広い相談を受け付けています。幅広い業種が登録されており、マッチング費用が無料なのも特徴です。

継業バンク

「継業とは、地域の生業を継ぐこと」とし、地域ぐるみで継業に取り組むためのプラットフォームです。地方自治体やまちづくり団体等と連携し、地域に密着した継業情報を展開しています。ウェブマガジンのように継業情報を掲載しているのが特徴です。

リレイ

2020年春に正式サービス開始予定の「継業をもっと身近にするマッチングプラットフォーム」です。閉鎖的な傾向がある事業承継の業界に対して、事業を引き継ぎたい事業主を取材し、情報をオープンにした上で後継者を探すサービスなのが特徴です。正式サービスリリースが待たれます。

これからの「事業承継」のイメージはポジティブになる

従来の事業承継はオープンにされることが少なく、閉鎖的なつながりの中で行われるものでした。それがインターネット上のサービスの登場で、少しずつオープンになってきています。

事業に関する情報が透明性をもって共有された上で、適切な価格で売買されることは、地方においても、起業し、一定の成長をさせた上で売却し、次の起業を行うという連続起業家の登場を促せるでしょうし、地域の雇用を支え、技術を守る会社を存続させる上でも有効な手段として機能していくはずです。

同族承継から第三者承継への変化の波は、事業承継そのものをオープンでポジティブなものにしていくのではないでしょうか。大廃業時代は、そのまま大承継時代の幕開けを意味しているはずです。